永上裕之のネタ帳

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【インベスターZ】個人商店の喫茶店は「常にお客さんが3人いる状況」を作れれば成功!といえる商売という話

 

blog.egachan.net

前回の記事で書いた、

・社長と言えば → (最初から)プレイヤーでなくマネージャーに徹しなくてはいけない!

・社長と言えば → (最初から)仕事は効率的に行い、1日の決まった時間だけを仕事に充て、その他の時間は人脈を広げることと、プライベートの充実に時間を充てるべき

 という風な固定観念に縛り付けられると、選択肢が狭くなり、自由がなくなり不幸になってしまう。という話の、ビジネス版のような面白い話があったので、自分なりにまとめてみます。

個人商店の喫茶店は「常にお客さんが3人いる状況」を作れれば成功!といえる商売

発売と同時に購入した、

インベスターZ(11)

インベスターZ(11)

 

 この本なのですが、

・ある登場人物が、40年続いている夫婦2人でやっている喫茶店が閉店になるという話があったので、そのお店を引き継ぐ形の「居抜き起業」をする。という話

・その喫茶店の上に、夫婦は引き続き住み続けるため、家賃はいらず、売り上げの10パーセントを毎月支払うという条件

 

という話で、そのご夫婦に話を聞くと、

・個人商店の成功する秘訣、

→スリム(少人数体制で、固定費をかけずにバーンレートを下げる)

→シンプル(取扱商品が最小限)

→スロー(あまり忙しくない)

上記の総称として「3S」というのを教えてもらう。という話です。

この話は、「個人商店はコーヒーチェーンやコンビニとの競合が激しいのに大丈夫なのか?」という話からはじまるのですが、そのご夫婦は、

例えば、ラーメン屋などで「行列のできる地域一番店」を目指すような「経営方針」では、一時はトップに立つことができてたとしても、消耗戦を繰り返すうちにどんどん経営は苦しくなっていく。

という風に分析をし、さらに年齢的な体力面なども考慮し、競争が激しくない、「喫茶店」を選んだというのです。

そして、この喫茶店では、1杯600円のブレンドコーヒーが定番で、原価が20円。

3人のお客さんが、1時間に1杯注文すると仮定し、1時間1,800円の売り上げ。1日10時間営業で、1日の売り上げは約2万円。週6日営業で1週間で12万円。月商で50万円。

さらに、コーヒーの場合は、豆の保存がきくため、在庫リスクがなく、労働が軽度のため体への負担も少ない。という話でした。

しかし、作中ではこの説明に対し、「経済情勢や社会構造も変化していく中で、個人商店が時代の荒波を乗り切るには、軽食のメニューを始めたり、お客さんを増やすためにいろいろな先行投資と固定費のアップを行っていかないと、現状維持は衰退を招き、やがて廃業につながるのでは?」

という質問がされます。

個人商店にとって成長と拡大とは悪魔の囁き

上記の質問に対して、ご夫婦がお答えした内容が非常に的確だなと思っていまして。作中では、

「商売をする人の耳もとで悪魔はささやく。『もっと売れ、もっと広げろ』と・・・」

という風に回答されており、別の人が解説として、その理由を、地方都市の商店街の話を例に、

「市場規模を無視した売上計画を立て、そのために、借入をし、改築作業などをし売り場を広げ、その広さ分の在庫数を増やしてしまい、市場規模との乖離が生まれてしまうから。」

という風な形で説明されています。

このストーリーは、45Pぐらいで読み終わるストーリーなので、ぜひ皆さんも漫画をamazonで買って、年末年始に読んでもらいたいです(笑)

これ、漫画なのに、めちゃくちゃ、いい話じゃないですかね?(笑)

この話で感じた事・1 ~損益分岐点の設定について~

個人商店の喫茶店が魅力的なことの大きな要素の1つとして、損益分岐点が低いこと。なのかなと思います。

ただ、一般的にこのような事業の敷居が高く感じてしまうかというと、この作中でも紹介されていますが、

・会社を10年後、20年後も会社を存続させるには → 先行投資もいとわず、とにかく会社の規模拡大を目指し、組織を大きくし、右肩上がりの成長をし続けなければいけない。

というような、固定観念により、上記に書いたような「3S」の真逆の方向に進んでしまうことで、足元にゴールがあるのに、逆に自分からゴールから遠ざかってしまっている。というようなことを言っているのかなと思いました。

面白い記事として、

daikoma.hatenablog.com

創業直後にライブドア・ショック&リーマン・ショックを経験している古俣です。

最近ではIPO市場が活況を呈し、またスタートアップへの投資も数年前にはあり得なかった金額が相次いでおり、スタートアップにとっては非常に良い環境ですね。

しかし僕がピクスタを創業した2005年も同じような状況であり、創業後1年間は順調に資金調達できていましたが、その後ライブドア・ショックにサブプライムローン問題、リーマン・ショックが起こってあっという間に市況が悪化していきました。

その状況から自力でキャッシュフローがプラスになるまでの2年間は毎日資金繰りに追われて最もしんどい時期でした。その頃は2000年のネットバブル崩壊から7~8年後の出来事であり、さらにあれから7年がたった今、歴史は繰り返す可能性は低くなく、備えをしておくに越したことはないと思います。

 などは、まさに、そういう文脈なのかなと思っています。

この話で感じた事・2 ~どの規模を目標にするか~

この漫画とは直接的には関係はないんですが、もう1つ感じたこととして、

「どの規模を目指すか。」また、「今やっている事業の市場規模のトップラインと、目標は合致しているか」

という観点はあるなぁ。と思いました。

過去に見た記事で印象深いものとして、

toyokeizai.net

分かりやすい例では、無料モデルでサービスを開始し、後から収益を考える事業がある。これが成立するとしたら、もうめちゃくちゃ流行ったときだけ。世界中の人、日本中の人が使っているというのに近しいぐらいになって、初めて広告モデルが成立したり課金したりできる。中途半端では存在していないも同然だが、そもそも企画段階から全人口を網羅できるようなサービスじゃないのに投資している。

あとは経営者が優秀でも、マーケットが行き詰まっているケースが結構ある。勝者が特定されており、そこからの事業の路線変更や規模拡大が難しい。ネット広告やソーシャルゲームなどは色々な事業へ広く展開できるが、ある業界のこの部分をネットサービスにするとかは意外と行き詰まることが多い。市場規模がだいたい決まってバリュエーション(時価総額)に限界があるが、経営者が優秀だったりすると驚くような額がつく場合がある。

――今のベンチャーバブルがはじける時期は?

毎回そうだが、日経平均株価が下がると終了。資金調達した未上場のベンチャーは、一度高くついた時価を戻すことはできないので、今のうちにつじつまを合わせるしかない。本当に危険な状況にあるが、そうした自覚は感じられない。

とかは、非常に興味深いなぁ。と思っています。まさに、

・会社を10年後、20年後も会社を存続させるには → 先行投資もいとわず、とにかく会社の規模拡大を目指し、組織を大きくし、右肩上がりの成長をし続けなければいけない。

という固定観念から、市場規模を無視し、とにかく規模拡大を目標に掲げることが唯一の生き残るための手段。という風に、勝手に、自分の選択肢を絞り込んでしまっている事例なのかなと思っています。

この話を考えていると、「やりたいこと(事業内容=市場)」から適切な目標を逆算するのか、「やりたい規模(目標)」から、適切な事業内容(市場規模)を選定するのかによって、考え方が大きく変わってくるなと思っています。

私自身の例でいいますと、

www.egachan.net


に書いた通り、昔は、同世代の起業家に対して、

・売上至上主義(≒ 営業利益度外視主義)

・バリエーション至上主義(≒ PER至上主義)

というような評価軸を意識をしすぎていて、実態と乖離した、意味のないプライドみたいなところに評価のバイアスが過剰にかかってしまっていた気がしますが、最近は、そこら辺はニュートラルになってきて「やりたい事業をやる!」「実現したい世界を目指す!」みたいなところで事業選定をしており、そのやりたいことに必要であれば、必要な分だけ成長を目指す。というような塩梅でやっています。

また、

www.4gamer.net

ただ,どこまで行けるかは,どこで満足するかで決まっちゃうんじゃないですかね。例えばライブドアにしても,オンザエッジの頃に上場して,そのまま回せば回っていたと思うんで。そこでいいやと思うか,新しいところに行くためにライブドアっていうのを買って,名前も変えたほうが効率いいのかっていう。どこをゴールにするかだと思うんです。
 ドワンゴには一応キャッシュはあるんですけど,着メロビジネスがだんだん下がっているので,じゃあここで低速回転でずっと残し続けてればいいよねと判断するか,もしくはまた新しい土壌を,溜めたキャッシュで作ってみようか,っていうところの判断だと思うんですけど。

にもあるように、最初は「どこを目指すのか。」というところから始まるかもしれませんが、実際にやってみて「どこで満足するか」という観点も大事なのかなぁ。と思いました。

プラットフォーム型と小売店型

私自身は、2つのサービスをやっていますが、

himote.plus

は、プラットフォーム型で、

mensfashion.cc

は、小売店型だと思っています。ただ、プラットフォーム型はいいのですが、「小売店型」というのは、「バリエーション至上主義(≒ PER至上主義)」的なアプローチで考察し、かつ、サービスを1度も使っていただけていない方とかだと、理解してもらえないことが多く、過去にちょくちょく聞かれる質問として、

「なんでマーケットプレイス(プラットフォーム型)のファッションサイトじゃなく、小売店型にしたんですか?」

と聞かれます。

その質問に対して、今回の記事をもって、背景やロジック含め包括的に回答できるのかなと思っていますが、それ以上にやっぱり、

「やりたいことを、最適な規模と、最善の方法で実現していく」

というところを原点にしているからだと思っていますが、今回のように言語化してみると、改めて頭の中の棚卸ができて面白いですね。

年末年始は、さらに、自分の行動の理由。みたいなものと対話を続けてみたいと思います!

(おまけ)純喫茶はいいですよ

ちなみに、話で出てきた純喫茶についてまとめてみました!よろしければ、こちらもどうぞ(´▽`)

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